TRICON4S 2026 事前準備ガイド
競技で使用する可能性があるカテゴリとツールをもとに、必要な環境をまとめています。 競技当日に慌てないよう、事前にインストールと動作確認を済ませてください。
重要
- セキュリティツールは、運営が指定した競技環境だけで使用してください。
- AIを問題の解答・解析に使用することは禁止されています。
- Google、Bing、Duck.aiなど、検索エンジンが提供するAI検索モードの利用は認められています。(一部はDNSでブロックしています。)
- 外部に向けた通信は、 80, 443 ポートのみみとめられています。
1. 開催概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 大会名 | TRICON4S 2026 |
| 主催 | 茨城県警察 |
| 共催 | 茨城県情報通信ネットワークセキュリティ協議会 |
| 開催日 | 2026年8月24日(月) |
| 全体時間 | 10:00~17:00 |
| 競技時間 | 10:30~15:30 |
| 会場 | 茨城県警察本部 9階 大会議室 |
| 開催形式 | オフライン開催(リモート参加不可) |
| 競技形式 | Jeopardy形式 |
参加者は、インターネットへ接続できる競技用PCを各自で用意してください。
2. 参加・チームに関するルール
- 茨城県内に在住する高校生または大学生が参加できます。
- 1チームは最大4名です。個人参加もできますが、チーム参加が推奨されています。
- 複数チームへの所属はできません。
- 1人で複数のアカウントを使用してはいけません。
- ユーザー名とチーム名には、公序良俗に反する表現を使用しないでください。
- 主催者と運営スタッフの指示に従ってください。
3. 必ず守る禁止事項
次の行為は禁止されています。違反が確認された場合、失格などの措置が取られることがあります。
- 競技サーバーや問題サーバーへの妨害
- 他の参加者やチームへの妨害
- 運営が指定していないシステムへのアクセス
- チーム外への問題情報、正解情報、解析内容などの共有
- チーム外の第三者から助言や協力を受けること
- 競技運営システムへの不正アクセス
- 競技中の問題情報をSNS、ブログ、掲示板などへ公開すること
- ChatGPT、Claude、Gemini、ローカルLLMなどの生成AIを問題の解答・解析に利用すること
- サーバーへ過剰な負荷を与える大量アクセス、大量接続、無差別なスキャン
- Google、Bing、Duck.aiなど、検索エンジンが提供するAI検索モードの利用は認められています。ただし、検索結果をそのまま信用せず、内容を自分で確認してください。
ツールが実行できる操作と、競技で許可される操作は同じではありません。対象、範囲、回数を問題文と運営の指示で確認してください。
4. 出題予定カテゴリ
| カテゴリ | 学ぶ分野 | 主に使う環境 |
|---|---|---|
| Web | Webブラウザー、HTTP、Webアプリケーションの調査 | ブラウザー、開発者ツール、HTTP確認ツール |
| Pwn | Linux実行ファイル、メモリ、デバッガー | WSL2またはLinux仮想マシン |
| Crypto | 暗号、エンコード、数値計算 | Python、CyberChef |
| Reversing | Windows・Linuxプログラムの静的解析と動作確認 | Ghidra、x64dbg、Linux解析コマンド |
| Forensics | ファイル、ログ、メモリ、通信記録の調査 | WSL2、Wireshark、各種解析ツール |
| Steganography | 画像、音声などのデータ調査 | 画像・音声解析ツール、Python |
| Network | パケット、通信プロトコルの調査 | Wireshark、tshark |
| OSINT | 公開情報、地図、画像、過去のWeb情報の調査 | Webブラウザー、地図・検索サービス |
| Programming | アルゴリズム、データ処理、自動化 | Python 3、Visual Studio Code |
| Misc | 複数分野にまたがる調査やパズル | 基本ツール一式 |
すべてのツールを使いこなしておく必要はありません。 まずは、ブラウザー、WSL2、Python、Visual Studio Code、CyberChef、Wireshark、Ghidraの確認を優先してください。
5. 推奨PC環境
5.1 推奨構成
- Windows 11(64ビット)
- CPU:64ビット、仮想化機能対応
- メモリ:8GB以上(16GB以上を推奨)
- 空き容量:30GB以上
- 管理者権限を利用できるアカウント
- Wi-Fiへ接続できること
- 電源アダプター
※ キャッシュDNSを使用して競技で使用するサーバーの名前を解決するためDHCPが設定できるPCを用意してください。
Windows環境を推奨する理由は、Windows向け解析ツールとLinux向けツールの両方を使用しやすいためです。macOSやLinuxでも参加できますが、本書のコマンド例はWindows 11とWSL2を基準にしています。
5.2 安全な実行環境
配布された実行ファイルは、日常利用している重要なデータと分離した環境で扱ってください。
推奨する方法は次のいずれかです。
- 競技PCを使用する
- VirtualBoxまたはVMwareで仮想マシンを作成する
- Linux用ファイルはWSL2またはLinux仮想マシンで扱う
競技前に必要なデータをバックアップしてください。主催者は、参加者のPCやデータに生じた損害について責任を負いません。
6. Windowsの事前準備
6.1 Windows Update
「設定」からWindows Updateを実行し、再起動まで済ませます。大会当日に大きな更新が始まらないよう、前日にも確認してください。
6.2 Webブラウザー
次のいずれかを最新の状態にします。
- Google Chrome
- Microsoft Edge
- Mozilla Firefox
開発者ツールが開くことを確認します。
F12
ノートPCでは Fn + F12 が必要な場合があります。
6.3 Visual Studio Code
Visual Studio Codeをインストールし、テキストファイルとPythonファイルを開けることを確認します。次の拡張機能が便利です。
- Python
- Hex Editor
- WSL
6.4 Windows Terminal
PowerShell、コマンドプロンプト、WSLをタブで切り替えられるWindows Terminalを用意します。
7. WSL2(Ubuntu)の構築
7.1 インストール
PowerShellまたはWindows Terminalを管理者として開きます。
wsl --install -d Ubuntu
PCを再起動し、Ubuntuを起動します。初回起動時にLinux用のユーザー名とパスワードを設定してください。
WSLの状態を確認します。
wsl --status
wsl -l -v
Ubuntuの行にバージョン 2 と表示されれば準備完了です。
7.2 基本ツールのインストール
Ubuntuで次のコマンドを実行します。
sudo apt update
sudo apt upgrade -y
sudo apt install -y \
build-essential \
python3 python3-pip python3-venv \
git curl wget \
file binutils strings grep xxd \
zip unzip p7zip-full \
netcat-openbsd openssh-client \
gdb gdbserver \
binwalk foremost exiftool steghide \
sqlite3 tshark \
nmap
インストール後、主要コマンドを確認します。
python3 --version
git --version
file --version
gdb --version
exiftool -ver
tshark --version
7.3 Python仮想環境
Python用ライブラリは、競技用の仮想環境へまとめてインストールします。
mkdir -p ~/tricon4s/tools
cd ~/tricon4s/tools
python3 -m venv .venv
source .venv/bin/activate
python -m pip install --upgrade pip
python -m pip install \
pwntools \
gmpy2 \
pillow \
numpy \
z3-solver \
pycryptodome \
requests
次回以降は、次のコマンドで仮想環境を有効にします。
cd ~/tricon4s/tools
source .venv/bin/activate
7.4 追加ツール
必要に応じて、次のツールも準備します。
zsteg:画像データの確認ROPgadget:Linux実行ファイルの解析補助Volatility 3:メモリイメージの解析
Rubyが必要なツールを導入する場合:
sudo apt install -y ruby-full
sudo gem install zsteg
Python仮想環境を有効にした状態で導入する場合:
python -m pip install ROPgadget volatility3
8. Windowsへインストールする解析ソフト
ソフトウェアは公式サイトまたは信頼できる配布元から入手してください。競技前に起動確認を行い、利用規約やライセンスを確認してください。
8.1 優先度:高
| ソフト | 用途 | 確認すること |
|---|---|---|
| CyberChef | データ変換、エンコード、暗号処理の確認 | ブラウザーで起動できる |
| Wireshark | PCAP・PCAPNGなどの通信記録の確認 | ファイルを開き、表示フィルターを入力できる |
| Ghidra | 実行ファイルの静的解析 | 新規プロジェクトを作成できる |
| x64dbg | Windows実行ファイルのデバッグ | 64ビット版が起動できる |
| Visual Studio Code | メモ、コード作成、ファイル確認 | PythonとWSLを利用できる |
| 7-Zip | ZIPなどの圧縮ファイルの展開 | 右クリックメニューから利用できる |
Ghidraの利用にはJavaが必要です。Ghidraの案内に従い、対応する64ビット版JDKも準備してください。
8.2 優先度:中
| ソフト | 用途 |
|---|---|
| FLOSS | 実行ファイルに含まれる文字列の確認 |
| UPX | UPX形式の実行ファイルの確認 |
| バイナリエディター | ファイルを16進数で確認 |
| Burp Suite Community Edition | HTTP通信の確認 |
| Audacity | 音声ファイルとスペクトログラムの確認 |
| Sonic Visualiser | 音声データの可視化 |
| VLC media player | 動画・音声ファイルの再生 |
| DB Browser for SQLite | SQLiteデータベースの確認 |
8.3 必要になった場合に準備するもの
- RegRipper、EvtxECmdなどのWindowsアーティファクト解析ツール
- zbarなどのQRコード読み取りツール
- IDA Freeなどの逆アセンブラー
- 画像編集・画像解析ツール
9. カテゴリ別ツール早見表
| カテゴリ | 最初に準備するもの | 追加候補 |
|---|---|---|
| Web | ChromeまたはEdge、開発者ツール、curl |
Burp Suite、SQLmap、JWT確認ツール |
| Pwn | WSL2、GDB、binutils、Python、pwntools | ROPgadget |
| Crypto | CyberChef、Python 3 | gmpy2、PyCryptodome、z3-solver |
| Reversing | Ghidra、x64dbg、file、strings |
FLOSS、UPX、IDA Free |
| Forensics | file、xxd、ExifTool、binwalk、Wireshark |
foremost、Volatility 3、Windowsアーティファクト解析ツール |
| Steganography | ExifTool、zsteg、steghide、CyberChef | Audacity、Sonic Visualiser、画像解析ツール |
| Network | Wireshark、tshark、curl、netcat |
Python、Nmap |
| OSINT | ブラウザー、検索エンジン、地図サービス | Street View、Google Earth、画像検索、Wayback Machine、アカウント名確認ツール |
| Programming | Python 3、Visual Studio Code | NumPy、Pillow、z3-solver |
| Misc | CyberChef、Git、SQLite、7-Zip | QRコード、音声・動画、特殊形式に対応するツール |
Nmap、SQLmap、パスワード検査ツールなどは、許可された対象だけに使用してください。無差別なスキャンや大量試行は行わないでください。
10. 作業フォルダーの準備
問題ごとに元データと作業用コピーを分けると、誤操作を防げます。
TRICON4S-2026/
├── notes/
├── downloads/
└── workspace/
└── task-01/
├── original/
├── work/
└── memo.md
original:配布されたファイルを変更せず保存する場所work:調査用コピーを置く場所memo.md:試した操作、結果、エラーを記録する場所
11. 初心者が覚えておきたい基本操作
11.1 Linux基本コマンド
| コマンド | 用途 |
|---|---|
pwd |
現在の場所を確認する |
ls -la |
ファイル一覧を確認する |
cd |
フォルダーを移動する |
mkdir |
フォルダーを作成する |
cp |
ファイルをコピーする |
file |
ファイルの種類を確認する |
strings |
読み取れる文字列を確認する |
xxd |
ファイルを16進数で確認する |
grep |
文字列を検索する |
sha256sum |
ファイルのハッシュ値を確認する |
unzip / 7z |
圧縮ファイルを確認・展開する |
11.2 通信確認の基本ツール
| ツール | 用途 |
|---|---|
| ブラウザー開発者ツール | Webページ、通信、Cookie、ストレージの確認 |
curl |
HTTPリクエストとレスポンスの確認 |
| netcat | 指定されたホストとポートへの接続 |
| Wireshark | 保存済み通信記録の確認 |
| tshark | コマンドラインでの通信記録の確認 |
接続先、URL、IPアドレス、ポート番号は、運営から案内されたものだけを使用してください。
12. 競技当日の進め方
- 会場の案内に従ってネットワークへ接続する
- スコアサーバーへログインする
- 大会ルールと運営からのお知らせを確認する
- チーム内で担当と状況を共有する
- 問題文を最後まで読む
- 配布ファイルを
originalに保存し、作業用コピーを作る - 調査内容、実行したコマンド、エラーをメモする
- 正解文字列をスコアサーバーへ提出する
- 長時間進まない場合は別の問題へ移る
チーム内で共有するとよい項目は、担当者、調査中・完了などの状態、試したツール、分かったこと、次に試すことです。チーム外へ競技情報を共有してはいけません。
13. 事前チェックリスト
1週間前まで
- [ ] Windows Updateを完了した
- [ ] PCの空き容量を確保した
- [ ] WSL2とUbuntuを起動できる
- [ ] Python仮想環境を作成した
- [ ] Visual Studio Codeを起動できる
- [ ] CyberChefを利用できる
- [ ] Wiresharkでファイルを開ける
- [ ] Ghidraを起動できる
- [ ] x64dbgを起動できる
- [ ] 必要なデータをバックアップした
前日
- [ ] PC本体を充電した
- [ ] 電源アダプターを用意した
- [ ] ブラウザーを更新した
- [ ] WSL2を起動して基本コマンドを確認した
- [ ] Pythonと主要ライブラリの動作を確認した
- [ ] ディスクの空き容量を再確認した
- [ ] 大会ルールを読み直した
- [ ] 生成AIを問題の解答・解析に使用できないことを確認した
当日の持ち物
- [ ] 競技用PC
- [ ] 電源アダプター
- [ ] マウス
14. 最後に
最初からすべてのカテゴリやツールを理解している必要はありません。分からない用語を調べ、結果を記録し、チーム内で相談しながら少しずつ進めてください。
セキュリティ技術は、許可された範囲で正しく使うことが最も大切です。ルールと運営の指示を守り、安全にTRICON4S 2026へ参加しましょう。